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会長コラム始めます。第1回「輻射と放射」

協会設立の記念イベントから半年、年度も改まり協会としての活動の幅も広げていきたいと思います。その一環として、輻射冷暖房に係る最新の情報や私が感じることなどを、「会長コラム」という形で会員の皆様と共有したいと思います。ということで、ちょっと趣旨とずれるかもしれませんが、第1回は協会の名称についてです。

 

協会の名称には“輻射冷暖房”を使用しています。「正しくは“放射”じゃないの?」と思われる方も少なくないと思います。私自身、「輻射は昔の言葉で、今は放射だよ」と言い、そのように教えてきました。教科書にも“放射”が使われ、現在では“輻射”より“放射”の方が一般的で、優位な状況にあると思います。また、英語ではRadiationやRadiantですが、これを日本語に訳す場合も、放射の方がふさわしいように感じます。

 

それが、なぜ輻射なのでしょうか。
福島原発の事故以来、皆さん放射能には敏感になられています。
私が中学生のころだったと思いますが、旧ソ連のシベリヤでの核実験による放射能が偏西風に乗って日本上空に達し、雨が降るとそれが雨中に溶け込んで「黒い雨」を降らすといわれました。雨に濡れて帰ってくると、早く放射能の雨を流せと家族に言われたものです。今回は、それが目の前で起こったわけですから、敏感にならざるを得ないですね。

 

そんな中、輻射冷暖房パネルを扱われている方々から「放射パネルと言うと『放射能が出るパネルか?』と聞かれます。だから、あえて輻射を使うんです」ということを伺いました。冗談だろうと思いましたが、笑い話では済ませられない微妙で深刻な反応と対応であるのは確かです。

 

用語はともかく、輻射が分かりにくいのも事実です。「輻射って何?輻射暖房は何がいいの?」そんな疑問に答えるのも簡単ではありません。現場では、ユーザーの方への説明に苦労されているとも聞きました。ならば、わかりやすく輻射冷暖房のアピールをしよう。それが快適な空間づくりに役立ち、皆さんの健康の維持増進につながることを期待したいと考えました。
輻射冷暖房普及促進協会はそんな背景と意図で生まれています。

 

ちなみに、社団を登記するとき、「輻射(放射)冷暖房普及促進協会」という名称にしようとしたのですが、カッコつきの名称は認められないということで輻射のみになりました。

 

昨年度は、会員の皆様のご要望でセミナーのお手伝い(講師派遣)をさせていただくのが主な業務でした。セミナーは、それなりにご好評をいただいているかと思います。「令和」のスタートも間近です。輻射冷暖房の普及ともちろん会員の皆様の満足度の向上に一層努めていきたいと考えているところです。

 

こんなことを聞きたい、期待したいといったご要望があればぜひお寄せください。コラムに対してでも、もちろん協会に対してでも結構です。コラムは一応不定期としておきますが、月に一度はお送りできるようにしたいと思います。

 

一般社団法人輻射冷暖房普及促進協会
会長 坊垣 和明